「習ったら、すぐ使って自分のものに」積極性と進歩の相助効果

2017 . 10 . 31 / Tue

PEOPLE

連載:初めての海外駐在でつかんだ「マイ外国語上達法」! 「習ったら、すぐ使って自分のものに」積極性と進歩の相助効果

文・写真=クボタプレス編集部

グローバル市場で活躍する日本人ビジネスパーソンの全員が、必ずしも最初から外国語が堪能だったわけではありません。語学力に不安を持ちながらミッションを背負って海外へ赴任し、どんな方法で“現場での語学力”をアップさせ、国境をまたいだ仕事を進めていったのか。そんなビジネスパーソンの「マイ語学上達法」をシリーズでお届けします!

第2回にご登場いただくのは、Kubota Engine America Corporation(本部 :米イリノイ州)にトレーニー(後述)として1年間赴任した、クボタ 堺製造所 エンジンサービス部 サービストレーニンググループの敷村麻実さんです。インタビュー時点、帰国後まだ3か月のところを訪ねました。

実は英語の勉強など、あまり準備なく赴任先へ

「メーカーで海外に関わる仕事がしたい」。学部・大学院で機械工学を専攻し、まっすぐに夢と目標を掲げていた敷村さん。意中のクボタで、海外サービス部のエンジン担当としてキャリアがスタートしました。Kubota Engine America Corporation(以下、KEA)への赴任が決まったのは2016年、入社4年目の時。同じ部門の先輩が前年に派遣されていた拠点に、先輩と入れ替わる形で派遣されました。

「トレーニーは、駐在候補の育成などを目的に、若手が海外拠点で業務に必要な能力開発を1年間行うシステムです。日本と現地間で協働しているプロジェクトなどで、受入側と派遣する側のニーズが合致すれば派遣されます。海外勤務が決まってから渡米するまでは、約6か月でした」(敷村さん)。

研修講師の通訳として研修会に立ち会いました

クボタの発電機のトレーニングで、研修講師の通訳[日⇔英]として研修会に立ち会いました。(KEAトレーニングセンターにて)

同じ赴任先を経験された先輩が身近に存在し、行くまで半年の猶予があったとのこと。気持ちのうえで多少は心配でも、英語を勉強したり、先輩の経験談から生活面での心積もりをしたりと、準備に余裕があったのではないでしょうか。

「エンジンのアフターサービスには高度な知識が欠かせないため、サービスネットワークの教育が重要な課題です。プロジェクトでは、クボタエンジンの『世界共通の教育プログラム』という位置づけで、効率的に専門知識を身に着けるeラーニング教育システムの導入準備を進めているところ。加えて、高度なスキル習得に向けた実技講習プログラムも作成中です。これらの研修において教える役割で、普段から英語を使ってはいました。ただ、英語での質疑応答ともなると苦しいな、とは思っていたものの、業務に追われ、渡米に向けた学習や準備はあまりできなくて。不安が募りました」

不安を抱えながらも、KEAでは上司と部下のフラットな関係が印象的なチームに迎えられ、無事アメリカ 生活が始まりました。

「もっと自分から」半年後に転機

KEAの市場ターゲットは北米だけでなく、非英語圏の中南米も含むアメリカ大陸全土。言葉の壁が待ち受けていたのではありませんか。
「初めの半年間は、日本人駐在員との仕事が多く、必然的に業務で使う言語も日本語が多くを占めました。トレーニーという誰の直属でもない“異色”な存在で、皆も私をどう扱おうかと思ったことでしょう。フラットで居心地が良いとはいえ、エンジニアは40~60代の男性がほとんどで、女性や年齢の近い方は他部門でしたから、『もっと自分から動こう、英語で話そう』と思っても、なかなか踏み込めなかったです。乗り越えなければ…… と意識しながら、週に1~2回、仕事後に英会話を学んでいました。こちらの赴任者がよく通うスクールがあり、各人に合ったカリキュラムを立てて、ネイティブの先生がマンツーマン指導をしてくれていて、会社から学費支援も受けられました。転機は半年後に訪れます。現地の方(ローカルスタッフ)と組んだ仕事に変わると、職場や学校からは英語力がぐんと伸びたと言われました――私自身は、変化を自覚していなかったんですけれど」

英会話スクールの教材

滞在中に通っていた英会話スクールの教材は、現在も時折手に取ることがあるバイブル的存在。

その時期、どんなことを心掛けていましたか。
「習った例文は即、自分の生活にある内容に置き換えて使っていましたね。イリノイ州の冬は長く厳しく、街が雪に閉ざされてしまうので、とりわけ冬場はNetflixで‘How I Met Your Mother’などのドラマをたくさん観ました。最初はスピードについていけず、英語の字幕を追うだけで精一杯でしたが、やがて字幕・映像・音声を合わせて捉えられるようになって、教わったフレーズに遭遇するのは嬉しいものでした。だんだん覚える楽しみが増して、繰り返し使ってみる。そうしているうちに、積極的な姿勢やコミュニケーションに変わっていったのかも知れません」

いろいろな英語があふれる現場

アメリカでは、いろいろな特徴のある英語が使われています。日本人の発音する英語が相手を戸惑わせることもあれば、逆の立場になることも。トレーニー期間中、アメリカ国内外に20回以上を数える出張や研修に行き、さまざまなバックグラウンドのスタッフと接する機会がありました。
「特徴に慣れることが理解の近道。たとえばインド系の英語は、Rの発音に癖が強く、注意して聞くようにしていました。また、サービス研修でチリに行った際、現地で英語を理解する人はごく少数でしたので、スペイン語の堪能なKEAのローカルスタッフが講師で通訳、私は研修の講師補佐という役割でした。現地受講者との距離感を縮めるために、「よくできました (¡Excelente!)」など、褒めたり労ったりする言葉は、事前にスペイン語で覚えていって、自分から使うように工夫していました」

アメリカでとても印象に残ったのが、褒める・労う文化だったといいます。
「仕事がまとまった時などのちょっとしたスピーチで、日本の発想だと省いてしまいそうな小さな関与であっても、『〇〇さん、あなたの事務サポートがあって、この案件をやり遂げられました』『△△さん、大きな貢献をありがとう』と、皆の前で名前を呼んで称えます。本人にとって貢献や成長の手応えになりますし、チームの絆も深まります」
後出・フレーズのセクションでご紹介するように、敷村さんもトレーニー期間の最後に、一生忘れ難い言葉のプレゼントをKEAの仲間たちから贈られました。

クリスマスエルフ(Clark the Elf)が自席に…

隔月の頻度で社内イベントがあるのもKEAでの楽しみの一つ。クリスマスシーズンには、毎日違う場所に現れるクリスマスエルフ(Clark the Elf)が自席に……

現地の同僚とのやりとりに使えるフレーズ トレーニー編

「私はトレーニーで、しかも、皆さんよりかなり年下でした。そういった点を考慮して、指示・命令口調でなく、『~してくださいますか』『協力していただけると助かります』と、お願いするトーンで接していました」
●It would be great〜. (~していただけたら幸いです。)
“It’d be great if it could be prepared by the end of this week.” (今週末までに準備してくださると、助かります)

あるいは、“Could you please〜” “May I trouble you to〜”などの依頼表現も使っていたそうです。

「同僚から自分が仕事を頼まれた時は、『はい、わかりました』という返答にとどまらず、『承知しました。がんばります』という姿勢を示していました」
●I will do my best. (ベストを尽くします。)
“Yes. Will do my best.” (はい。がんばります。)

*主語を省くとカジュアルになります。

「メンバーのモチベーションやチーム全体の士気が上がる褒め言葉です。言われると励みになり、チームの結束が強まる魔法の力があります。アメリカのスタイルに習って、ぜひ日本の現場でも採り入れてください」

●great job / great help
“You did a really great job.” (本当に素晴らしい仕事をしてくださいましたね。)
“The dedication and efforts you contributed were a great help.” (あなたの貢献と努力に、すごく助けられました。)

*2つ目の例文は、帰国する敷村さんにマネージャーや同僚たちが贈った、はなむけの言葉。「ほかには、“You must be missed.”(あなたがいなくなるなんて、とても淋しいです。)と 言っていただき、チームの役に立っていたんだなと実感しました」

トレーニーとしての最後のランチ

トレーニーとしての最後のランチは、同僚といつものベンチで。天気の良い日には、仲良しのローカルスタッフとこの場所でランチを食べ、時にはオフィスの周辺を散歩しました。

赴任前の自分にメッセージを贈るとしたら

たとえ海外に詳しい先輩から経験談を聞いていたり、どれほど現地の情報を事前に収集したりしていても、現地で実務が始まったら、想定外の展開に右往左往するものです。あまり準備できずに渡米されたという敷村さんにも、恒例の質問をしてみました。もし赴任が決まった直後の自分自身に会えるならば、どのようなアドバイスをするでしょうか。
「ネイティブの話し方は、想像していたよりも速かったです。スピードに付いていくことは日常で欠かせないため、普段から英語の映画やドラマを観て、リアルな会話に触れておくことを勧めます。あとは、専門用語について。業務上、高い頻度で使用すると思われる産業用エンジンの用語(例えば『耐久性』、『しきい値』や『許容値』など)を英語で何というか、あらかじめリストアップして、頭に入れておきたいですね。サービスで必要な語彙力はあったとしても、技術的な単語が一つ分からないと、後々の話が理解できなくなってしまいます。最初の頃はそれで苦労しました」

帰国後の積極的な仕事ぶりが評価されている敷村さん

帰国後の積極的な仕事ぶりが評価されている敷村さん。トレーニー後半に迎えた転機を笑顔で振り返ります。

実務レベルで直面した出来事とその的確な対処法に、自ら積極的な課題意識をもって取り組まれていたことが伺えます。
「トレーニーの1年間で自分が大きく変わったとは感じないのですが、日本に戻って久しぶりに仕事を共にした先輩に、『仕事の姿勢がすごく積極的になった』と言われます。待っていても何も起きない、自分で動かなくては…… といつの間にか吹っ切れていたようです」

帰国して約3か月。英語力を維持するために、何か特別なことをしていますか。
「帰国してすぐにTOEICを受けてみたら、渡米前に比べて150点くらいアップしました。それをキープするためにも、月に2回、英会話に通っています。ある程度TOEICのスコアを取得できている人むけのサークルで、毎回テーマに沿って2時間ほどのディスカッションをしています。メンバーは全員日本人で、レベルの高い方もいらっしゃり、刺激になります。このサークルに通いながら、帰国後の片付けが一段落したら、海外ドラマを観たりもしたいですね。トレーニー期間に得られた英語力を活かして、日本からも引き続きプロジェクトの一翼を担いたいと思います。そして、機会があればまた海外で、日本側とグローバルの仲介役として、エンジンのサービスに貢献したいと考えています」

SHARE

カテゴリ人気記事ランキング TOP5

ページトップへ戻る